こんにちは、makinaです。
2013年に登場した、ルイヴィトンのバッグ、カプシーヌ。
ワンハンドルとショルダーとの2way。
そして、LVのロゴを見せたり隠したりできる2wayでもあります。
ただ、「こんなに高いの!?」と思う人も多いのではないでしょうか。
ベーシックなもので、60万円前後。
人気のモノグラムのバッグと比べると、約3倍です。
なぜ、カプシーヌは、こんなに高いのか。
それは、ブランドの格を上げ、価格競争から抜け出すという役割のため。
そのためには、有形無形のプロモーション費用がかかるからのようなのです。
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価格競争から抜け出し地位を向上させるため
カプシーヌが発表されたのは、2013年。
その前の年、2012年のプレスリリースを見ると…。
それまでには無かった、「地位を向上する」、「ブランドをアピールする」という文字が躍ります。
高級ブランド市場での価格競争から抜け出すために、ルイヴィトンのブランド力の向上を目指しているタイミングだったようです。
その手段は様々で…。
「製品を強烈にアピールした」。
「顧客には店舗において特別な体験をしてもらった」。
「パリのヴァンドーム広場で大々的なワークショップを開催した」。
高級ブランドとしての格を上げるため、由緒ある場所でのイベントを開催したり、顧客をもてなしたり。
プロモーションに多額の費用をかけていることをうかがわせる記述も、数多くあります。
そして…。
「2013年には、次の手段を準備している。
長期的な戦略によって、わが社の高級品市場での地位をさらに向上させるつもりだ」とも。
そして、2013年にカプシーヌが発売されるのです。
名前に格を乗せた
このような流れで発売されたカプシーヌに期待されていたのは、ブランドの格式を上げること。
そう考えるのが自然です。
まず、名前に特別な意味を乗せました。
ルイヴィトンが、1854年に第一号店を出した、パリの通りの名前。
それが、カプシーヌ通りでした。
当時、大激戦区に打って出て成功し、格の違いを見せつけた。
その原点とも言える名前を、このバッグに付けたのです。
価格にプロモーション費用を乗せた
そして、名前だけでなく、バッグ自体も、ブランドの格式を上げる役割を担うことになりました。
それまでの定番の、モノグラムラインの3倍の価格設定です。
「2013年の、長期的な戦略」とは、高価格帯のカプシーヌを、今後長きに渡り大々的に売り出し、ブランドの格を上げることだったのです。
驚くべきことに、多額のプロモーション費用は、ほとんど利益を圧迫していません。
2013年こそレザー製品部門の利益が減ったものの、2014年、2015年は、利益を大幅に伸ばしています。
これは、高価格帯のカプシーヌの値段に、しっかりプロモーション費用分も乗せているからではないでしょうか。
もし、価格は抑えて、プロモーション費用も乗せないという選択をしていたら、翌年以降にじわじわと利益を圧迫するはずです。
ところが、そうなっていない。
ということは、プロモーション費用は価格に含まれていると考えるのが自然です。
それを示すように、2013年には、「コストは厳密にコントロールしている」との記述が登場しています。
コストを一番厳密にコントロールできる方法は、売れた瞬間にコストも全て回収すること。
つまり、価格にコストがそのまま含まれているということです。
このように、「カプシーヌ」という名前に、原点に備わっていた格を乗せ、価格には、ブランドの格式を上げるためのプロモーション費用を乗せた。
それもこれも、価格競争から抜け出すため。
だから、カプシーヌは、驚くほど高いのです。
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プロモーション戦略は「トップクラスの人」がターゲット
では、そのプロモーションの内容は、どのようなものなのでしょうか。
ルイヴィトンの親会社「LVMH」パリ本社のシニアアドバイザーを務める人物は、「ブランド力を高める」ことについて、こう発言しています。
「まずはトップクラスの方に慣れ親しんでいただき、ブランドを格式高いものにする。」(プレジデント2019年7月5日号p90)
親会社の方針に沿っていると想定すれば、カプシーヌにも当てはまりそうです。
ブランド力の向上に欠かせないのは、「トップクラス」の人に慣れ親しんでもらうこと。
そうすれば、ブランド力が高まり、「高くても売れる」状態にすることができる。
カプシーヌのプロモーション戦略のターゲットは、「トップクラス」の人なのです。
ブランドの格式を上げて価格競争から抜け出す
格式が高まるような人物に、慣れ親しんでもらう。
カプシーヌのキャンペーンモデルに、エマ・ストーンを起用しているのも、その一環でしょう。
ブランドの格式を上げなければ、価格競争からは抜け出せません。
カプシーヌの価格には、ブランドの格式が上がるような人物に慣れ親しんでもらうためのプロモーション費用が上乗せされている。
そう解釈することが可能です。
そしてそれは、私たちが憧れる「ブランド力」の価格であり、同時に、「トップクラス」の人々にとっては「慣れ親しんだ」価格でもあるのです。